イケメンはつくられる

ある秋の終わり頃、手袋はまだいいけどマフラーがそろそろ欲しくなる肌寒い日のことでした。

 

私は学校の近くの横断歩道で信号が青になるのを待っておりました。

空からは数分前から雪混じりの雨が降り始めていて、傘は持ってないけどこの程度ならまあいいかぁと思って、私は上着のフードをかぶってしのいでおりました。

 

 

すると、

 

「どこまで行くんですか?」

 

と、横から声がかかりました。

 

 

見ると全然知らない男の人でした。

髪は短くて金髪だけどなんとなくまじめそうな20歳くらいの人。

 

 

とりあえず

「サークル会館までです(学校の施設)」

と答えました。

 

 

するとその人は、なんと持っていた傘を差し出し

「僕も学校行くんで方向一緒なんですけど、

 

よかったら途中まで一緒に入っていきませんか?

 

 

 

 

 

 

!???!!?!?????????!?

 

私は、本当に、

あまりにイケメン台詞すぎて、

最初なにかのドッキリかと思って周りを見回しかけました笑。

 

こんな台詞漫画の中以外で言う人おるんや。。。と思いました。

しかもチャラそうな人でもなくからかっているでもなく、とても真摯に言ってくれているのがわかりました。イケメンすぎませんか????

 

 

でも最初あまりにイケメンすぎたので

一瞬断ろうと思いました。

 

こんな台詞言われるのは少女漫画のヒロインみたいな人で、私にはもったいないなぁ。。。ごめんね。

と。

 

 

しかし、そうやってお断りの言葉を言おうとした瞬間に気付いてしまいました。

 

もし私がここで断ったら、

この破格のとんでもないイケメン行為はなかったことになってしまう、、、!!!

ということに。

 

 

テレビが回っているわけでもなく、

聞いている人が他にいるわけでもないのに生まれたこのイケメンは

私が断ったらなかったことになって消えてしまうのか……

 

そしてこのイケメンは多分この後ちょっとしょんぼりして、

もうこういうことやらないって思うだろうな。

本当にイケメンなのに。

目の前に同じ状況の可愛い少女漫画の主人公がやって来た時にためらってしまうかもしれない。イケメンなのに。

それはいかん!!世界の損失だ!!!

 

と考え直し、

 

 

『あ、、、、、、、はい、お願いします(・∀・)』

 

となぞの空白と不自然なアホ面でお願いすることになりました。

 

 

傘に入れてもらった後の会話はほんとーーに平和で

学部どこですか、とかサークル入ってるんですか、みたいな感じで

とっても普通でした。(聞いたら大学1年生の年下の男の子だった)

 

その後も普通にありがとうございましたーってお別れして、

名前も聞いてないし連絡先も交換してないしその後会うこともないんですけども。

 

 

思ったのは、

嵐ってイケメンだからファンがいっぱいいる様な気がするじゃないですか???

でもそうじゃなくて、

嵐がイケメンだと思ってるファンの人がいるから嵐はイケメンなんだなと。ファンがいなければただの5人なのかもねと。

(なぜ例えが嵐なのかというと私があまりテレビに出る人を知らないので誰でもよかったんですけど

せっかくなのでうちのばあちゃんが好きな嵐を選択)

 

 

イケメンはどこかにいるのを探すものじゃなくて

受け取る全ての人が生み出していくものなんですねって思いました。

 

最後にですがあの時は傘をありがとう☂️